■ 歯周再生療法 ■

  現在保険の適用範囲で通常行われている歯周病の治療は”これ以上進行させない”ようにする治療に限られています。したがって通常の方法で一度失われた骨や退縮した歯肉を元に戻すには限りがあります。
 歯周再生療法は歯周病により破壊され失われた歯槽骨などの歯周組織を再生させ、歯と歯を支える組織を元の健全な状態に戻そうとする治療法です。残念ながら今のところはこの方法に対して保険は適用されていません。

 歯槽骨は実は再生能力がないわけではありません。手術などで原因を除去し、予後管理を的確に行えば歯槽骨はやがて再生しようとします。ところが現実には歯槽骨が再生する前に歯肉の方が容易に再生して(骨で埋められるべき部分に)侵入してきてしまうのです。

 この際骨の再生を期待する個所に歯肉が侵入しないように薄い膜を埋め込んで歯肉との間に一線を画しておけば、歯肉の侵入を防ぎつつ、じっくり骨の再生を待つことができることになります。このような方法を
GTR法といいます。

 またこれとは別に特別の薬剤を用いて行う再生療法が
エムドゲイン法です。この方法では
歯が生えてくるときに関与するタンパク質エナメルマトリックスデリバティブを主成分とする薬剤を患部に注入して歯槽骨の再生を期待します。

 二つの方法ともに全ての症例に適用できるものではありません。特に進行しすぎた歯周病に対しては適用できません。