2−11 糖尿病と歯周病の関係

 糖尿病とはインスリンと呼ばれるホルモンの作用が不十分のために生じる代謝障害で慢性的に血糖値が上昇している状態を言います。糖尿病が原因となってさまざまな合併症が起こる可能性があります。合併症の主なものは、糖尿病性の網膜症(→失明)・糖尿病性腎症(→腎不全)・糖尿病性神経障害(→下肢切断)・細血管障害(→歩行障害や下肢切断)・大血管障害(→狭心症・心筋梗塞・脳卒中)などです。糖尿病が怖いのは、ふだん強い自覚症状を感じないでいる間に病状が進行して、上のような合併症が現れることです。歯周病もそのひとつで、糖尿病によって歯周病が重症化することがわかっています。また逆に歯周病が糖尿病を悪化させる因子であることもわかってきています。なお糖尿病についての詳細は『ちょっと専門的な歯科用語集』のページをご覧下さい。


 糖尿病が歯周病を悪化させます
糖尿病があると、1)唾液分泌量が低下し 2)傷の治りが遅延し感染しやすくなり 3)歯肉の炎症が強まり 4)歯槽骨の破壊が進行します。たとえば唾液の分泌は、糖尿病由来の多尿による細胞外液が減少することによって起こるといわれています。また易感染性の傾向や歯槽骨の破壊などは、糖尿病による白血球貪食能力の低下、末梢血流の現象、損傷組織への酸素供給量の低下などによって起こるといわれています。

    
 歯周病が糖尿病に影響を与えます
疫学的(統計的)研究の結果、歯周病が糖尿病に悪影響を与える可能性があることがわかってきましたが、まだそのメカニズムについては研究段階にあります。
重度な歯周病で炎症性細胞が産生するサイトカインのうち腫瘍壊死因子−α(TNF-α)などがインスリンの活性を干渉して糖代謝機能を阻害します。これによって糖尿病を惹き起こすのではないかと推量されています。    

    
調布市 竹内歯科医院 042-486-0381           

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