■ 上顎洞穿孔 ■

  上顎骨には『上顎洞』と称する空洞があります。特に重要な役割を果たしてはいませんが多分神様が頭の骨があまり重くなり過ぎないようにと考えて作られたものでしょう。上顎にはこのほかに蝶形骨洞とか篩骨洞などいくつかの洞穴があります。
 上顎洞は目と鼻と口に囲まれて、左右にあります。口とは直接つながっていないのが普通ですが、上顎の歯が歯根膜炎などに罹って歯根端部分の骨に膿などを持つようになると、歯槽骨が溶かされて、その結果つながってしまうことがあります。
 下の写真は歯根膜炎を長年にわたって放置したために、上記のようなことが起こり、抜歯したところ、上顎洞に通じてしまっていたケースです。
 穴が小さい場合は抜歯窩の治癒とともに繊維で塞がれますが、ある程度大きな穴の場合は、なかなか塞がらず、ときには細菌が感染して上顎洞周辺の組織に炎症を起こしたりします。その様な場合は自家骨移植をして穴を塞ぐ手術が必要になります。

         
右上大臼歯の歯根端から上顎洞に通じています