■ 歯根破折 ■

歯根破折

下の写真は右下の側切歯の歯根破折です。真ん中の歯の歯根中央に破折線をご覧いただけると思います。
 またついでながら両隣の歯には歯周病による著しい歯槽骨吸収が見られます。歯根破折の原因は様々ですが、写真のケースの場合はかぶせ物をする際にすでに失われた歯質を補うために歯根中央に埋め込んだポストと呼ばれる金属製の心棒が災いしたと思われます。
冠に加わる咬合圧が金属の心棒に伝わり、その分力が歯根を割る方向に働いたのではないか、ということです。処置としては抜歯適用ですがケースによっては接着技術の適用によって抜歯を避けることも可能です。
 当院では金属製の心棒に代わって、グラスファイバーコアと呼ばれる、歯根の弾性に近似した素材を用いています。この方法は近年の接着技術の進歩によって非常に優れた効果を生んでいます。

 上記のような失活歯ではなく、幼児児童などが外傷によって歯根を破折させてしまうケースもあります。その多くは写真のような縦割れではなく横割れです。このような場合には整復固定によって
時間の経過とともに自ら再接着し、たとえ歯髄が切断していてもふたたび健康な状態の戻る可能性が高く、安易な抜歯は避けることが大切です。