■ 酸蝕症 ■

 

酸蝕症

≪酸蝕症EROSIONとは≫ふだん口にする食べ物や飲み物に含まれる「酸」によって歯が化学的に溶ける病気のことです。また胃酸の逆流などの内因的な原因でも起こります。う蝕(むし歯)は細菌によって歯が侵される病気ですが、酸蝕症は細菌はいっさい関与していません。

≪酸蝕症の症状≫前歯では歯の表面を覆っているエナメル質が溶けるため切縁(歯の尖端)が半透明になり、さらに進行すると切縁が破折します。通常患者さんはこの段階ではじめて自分の症状に気づき「歯が欠けた」と訴えて来院なさいます。
 一方臼歯部(奥歯)では、咬合面(歯が咬み合う面)に杯状(カップ様)のくぼみが生じたり、充填物がある歯では充填物と歯質との境目に段差ができます。前歯、臼歯とも酸蝕が進むとエナメル質を越えて黄白色の象牙質が露出します。象牙質はエナメル質に比べると軟らかく耐酸性が低いためいったん象牙質が露出すると酸蝕の進行は加速し、冷たいものがしみたり、むし歯のような痛みを引き起こし、最後には露髄(神経が露出するころ)することになります。若年者は、成人に比べてエナメル質、象牙質の厚さが薄いため酸蝕の進行は速く、さらに露髄するまでの時間はより速くなります。

≪酸蝕症をおこさないために≫

*食べ物・飲み物について
日常酸性の食べ物や飲み物を大量に摂取している場合は摂取量を減らすか酸性度の低い飲食物に変えてみましょう。また食べ方や飲み方によっても酸蝕度は変わりますから、酸性飲料を飲むときは、口の中にためずに飲むとか、ちびちび飲まないで素早く飲むように心がけましょう。また、酸性食品であるサラダを食べるときはチーズ、牛乳など脱灰(歯の中のカルシウム分が溶け出すこと)を阻害する作用のあるカルシウムやリン酸塩を含む食品を食べるなどの工夫が必要です。アスコルビン酸(ビタミンC)のような内服の栄養剤についても注意が必要です。

*日常的なセルフケア
@歯質を強化すること:フッ素を使用すると歯面の耐酸性が向上し、歯に再石灰化、再硬化が起こります。家庭ではフッ素入り歯磨き剤を使用し、歯科医院で年2〜4回の高濃度のフッ素塗布を受けましょう。歯磨きの後M Iペースト(再石灰化を促す)を塗布するとさらに効果的です。

A酸性度の強い飲食物を摂取した後は、すぐにブラッシングすることは控えましょう。摂取後はまず水でうがいし酸を口腔内から洗い流すことが大事です。その後お茶や牛乳などのアルカリ性の飲み物を摂取することも有効です。そして、1時間くらい時間をおいてから毛先の軟らかい歯ブラシを用いて、力を入れずにブラッシングしましょう。
3寝る前に酸性食品を摂取することは控えましょう。