■ 智歯周囲炎 ■

  俗に『親知らず』と呼ばれる第三大臼歯=智歯の解剖学的特性から起きがちな周囲組織の急性炎症のことです。症状は一般的な炎症の特徴である周辺歯肉の発赤、腫脹、疼痛、時に排膿などとともに重度の場合は開口障害、嚥下障害などの機能障害、全身的発熱を伴うことがあります。
 原因は第三大臼歯は最後に生えてくるため、顎に対して萌出余地が不足して骨の中に埋伏、半埋伏、萌出位置異常などが起きやすく、そのため歯肉弁の形成、深いポケットの形成、ブラッシングによる清掃困難、咀嚼による自浄性の不足などのため炎症がきわめておきやすい状況を生み出しているためです。
 治療は急性炎症時は抗生剤の服用、局所の洗浄と薬剤の適用、全身の安静などにより消炎を図ります。さらにたびたび炎症が起きる状況であれば早期の抜歯が必要になります。
 智歯の抜歯、特に下顎の智歯の抜歯は骨の開削、歯牙の切断などを伴うことが多いため手術に長時間を要するケースがあります。抜歯当日は、術前には十分な睡眠、栄養補給、術後には過労を避け、安静にできるようなスケジュールの調整を事前にしておくなど万全の体制で求められます。