ドライマウスとマッサージ
加齢とともに唾液の分泌量が減ってきて、口が渇くようになることを「ドライマウス」と言います。ドライマウスはそれ自体も不愉快なことですがう蝕(むし歯)や歯周病を悪化させる原因にもなります。したがって唾液がふんだんに分泌されていた若いころとは違った口腔ケアが必要になってきます。
唾液は口腔内にある三つの唾液腺から分泌されます。
一つは舌の付け根に分泌口がある舌下腺、顎関節の内側の顎下腺、三つめは上の奥歯に相当する部位の頬粘膜に分泌口がある耳下腺です。
唾液腺の分泌機能は加齢とともに衰え、唾液の分泌量が減ってきます。唾液は口中のpH(ペーハー=酸性とアルカリ性のそれぞれの度合い)のバランスを整える機能や、殺菌機能、口腔内の洗浄作用を持っています。したがって唾液が減るとpHのバランスが崩れたり、口腔内の洗浄が十分行われず、むし歯や歯周病を発症させたり、増悪させる要因になります。
唾液の分泌を促すためにはマッサージをすることが推奨されます。三か所の唾液腺にはそれぞれ違った方法のマッサージ法があります。
@舌下腺
両手の親指を揃えて顎の下の真ん中付近を10回くらい刺激します。
A顎下腺
顎のカーブの内側に親指を当て耳の下から少しずつ下方にずらしながら刺激します。
B耳下腺
左右の頬の上の方(奥歯のあたり)に親指以外の四指を当て、後ろから前の方へ円を描くように10回ほど刺激します。
そのほかには舌を前に大きく出したり、唇に触れるようにしながら回転運動することも有効です。
また食事の際にはよく噛むことが大切です。たべものは唾液によって丸い食塊となってスムーズに喉に運ばれます。食塊ができなまま喉に運ばれると飲み込みにくくなり、むせてしまい、一部が気管支に入り込んでしまう危険があります。
またいわゆる誤嚥性肺炎は口腔内の細菌が食べ物の一部や唾液に交じって肺に送り込まれることによって起こるものです。ふだんから口腔内を清潔に保つことは誤嚥性肺炎を防ぐ意味でも大切なことです。
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